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行動障害への支援

行動障害の改善

行動障害への支援 – 行動障害の改善 –

発達障害児者のみせる行動障害への支援・療育の基本には、システム的性格、交互作用、防衛的な性格、生活全体への視点、等の基本的な概念的把握が必要となります。 行動障害への支援の基本的な視点には、

1. システム的な視点

多くの場合、発達障害児のみせる行動障害は容易には変化しにくいものです。そのことは生活上の様々な要素が複雑に絡み合い、なんらかの契機を媒介に半ば自動的に行動障害という反応形式が発現することを意味します。そのため行動障害への支援の方法論としては、単に表現された行動障害そのものを抑制する発想では足りず,様々な要因が複合的にしかも一つのシステムとして確立していると考えたうえで、個々の要因の関与のしかたを解明する努力が求められます。

2. 生活全体への検討

行動障害の支援には生活全体の検討が求められます。日々の生活がその人のもつ行動傾向に快適か、楽しみをどこで保障するか、排泄はどうか、食事はどうか、自閉症であれば同一性保持に対応する構造化などの方法論は整備されているか、コミュニケーションへの支援は十分になされているか等々の視点からの検討が必要となります。

3. 行動障害の防衛的性格

発達障害児がみせる行動障害は、本人のもつ行動傾向に対しての周囲の拒否的対応への反応が多いといえます。行動障害のなかには、睡眠障害など生物学的側面が強いものもありますが、自傷、他傷、もの壊し、騒がしさ、粗暴さ、パニックなど、いわゆる攻撃的行動といえる行動では、自分の持つ傾向への拒否的な対応への防衛反応・ストレス発散反応として捉えられるものが少なくありません。

4. 交互作用という視点から見る

行動障害には、まず本人の持つ素質としての一定の行動傾向があり、次にそれに対しての周囲や環境の働きかけがあるわけです。そのことが本人の行動形態を変え,周囲の見方が適切なら本人の行動は改善し、それは周囲の見方をさらに変える結果を生みます。不適切ならば、本人はストレスを高め周囲に不快感を持ち行動する結果を生みます。そのことが周囲の見方と対応を変えていきます。行動障害は一つの状態像であり、対応によって大きな差が生じるのです。支援の出発点には強度行動障害が関わり方によって変化するという視点があります。

5. 医療対応

本人の持つ素質に対しては、薬物療法などを含めた医療対応が求められます。その際、福祉の価値観と医療の健康観とを上手に調整することが求められます。

6. 環境の整備

行動障害をみせる人には発達障害の特性に対応した体制整備が必要となります。代表的なものには、生活のリズム、小集団、個別化、担任制、構造化、などがあります。

生活のリズム

睡眠不足であったり、だるかったりの不快感は、情緒的な不安定をもたらします。適切な生活を組み立てて生活のリズムを整えて、快適な生理的・心理的安定をえることは行動障害改善の基礎となります。

小集団・個別化について

小集団であることは、安定の必要条件です。またメンバーが固定していることも安定の要件となり、クラスなど小集団を基礎的な単位とします。家庭で親が変わらないように、職員も、担任制としなるべく信頼関係を持ちやすくします。

構造化

自閉症では、強迫的な同一性の保持という特性があり、さまざまに変わる環境には適応しにくいといえます。そこで、あらかじめ計画された環境を整備し提供するという構造化の手法が有効となります。特に行動障害が重い弘済学園の利用者では、プログラムを一定にする、場所とプログラムを対応させる、などの構造化をすすめています。